学科長あいさつ

岐阜大学応用生物科学部
共同獣医学科長
前田 貞俊

2024年度より、岐阜大学共同獣医学科長を拝命いたしました。 日本の獣医系国立大学においては、東京大学と宮崎大学を除く8大学において共同獣医学部または学科による共同教育が実施されております。岐阜大学においては、2012年度までの単独教育体制を抜本的に見直し、2013年度から鳥取大学との共同教育を開始しました。すでに11年が経過しましたが、これまで36名で行っていた教育も鳥取大学の教員36名が加わることにより、72名の教員の有する専門知識および2大学が有する教育資源を最大限に活かした教育を実践できるようになりました。このような共同教育が可能になった背景には、2011年に作成された獣医学教育モデル・コア・カリキュラムによるところが大きいです。コア・カリキュラムは獣医学以外にも医学、歯学、看護学、法科大学院および教職課程など、特定の人材養成を目的とする教育課程における必須授業科目の明示を目的としています。さらに、獣医師の職域は伴侶動物・産業動物臨床獣医師、公務員獣医師(食品衛生、公衆衛生、家畜衛生)、研究者獣医師など多岐にわたっていることに加え、国際的な畜産物の流通ならびに感染症の拡大を背景とする国際的な獣医学教育内容の均一化が強く求められております。我々は獣医学教育モデル・コア・カリキュラムに準じた世界標準の獣医学教育を鳥取大学とともに実践し、多種多様な領域において国際的に活躍できる人材を育成して参ります。 獣医学に限らず、大学における教育は研究基盤に立脚していることが必要不可欠であります。岐阜大学はさらなる研究力の向上を目指し、2020年に名古屋大学と国立大学法人統合したほか、最先端の研究を全学的に展開するために高等研究院を設置しました。高等研究院は複数の研究センターによって構成されていますが、その一つであるOne Medicine創薬シーズ開発・育成研究教育拠点(COMIT、https://comit.gifu-u.ac.jp)には共同獣医学科の教員の約半数が兼任しており、医学、薬学および工学研究者との連携による人と動物の創薬研究を展開しています。4年次からは個別教育の一環として研究室に所属して卒業研究を行うことになりますが、このような最先端研究センターの存在は学生の知的好奇心を大いに刺激するものと期待しております。 獣医学教育モデル・コア・カリキュラムによる世界標準の獣医学教育の実践と最先端の研究活動を通じて、論理的思考力および実践力を有する獣医師を養成して参ります。皆様方のご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

鳥取大学農学部
共同獣医学科長
森田 剛仁

本年度、鳥取大学共同獣医学科長を拝命いたしました。

平成25年4月に設置された共同獣医学科は10年目を迎え、本年3月には第3期生が卒業いたしました。本共同獣医学科の教育理念は、動物の健康の増進、公衆衛生の向上、人間社会と環境における健全性の維持に貢献する命の専門家の育成です。そのため本学科における教育では、通常の対面型講義や実習に加え、学生移動、教員移動および遠隔講義システムを用いた様々な手法により、動物に関わる総合的、実践的かつ高度な獣医学教育を実施しています。共同獣医学科の1~3年生の間は基礎、病態、応用に関する科目が主であり、1・2年生では、両大学の学生が互いに移動し、合同で実施する授業を行っています。4年生以上の学年では、臨床獣医学の教育科目が中心となります。4年生は年度末に獣医学共用試験を受験し、これまでは全員が合格しました。獣医学共用試験は、参加型臨床実習を受講するための学生の質の確保と保証が目的の試験です。そのため、5年生は「総合参加型臨床実習」を受講できることになり、実際の臨床現場での実習参加を通して実践的な診療技能と臨床的知識を身につけることが出来るようになります。また、公務員獣医師や小動物、産業動物獣医師の職場における実習を通じて獣医学の応用に関する知識を身につける公衆・家畜衛生インターンシップ実習や、海外の獣医系大学における教育に触れることでグローバルな視点を養う国際獣医学インターンシップ演習などの授業科目もあり、獣医師としての社会的使命と役割を理解するための実践的な科目も組まれています。共同獣医学科は、日本のみならず国際社会で活躍できる学生を輩出すべく、令和2年度に教育カリキュラムを全面的に改訂しました。

新型コロナウイルスが流行して以降、教育現場ではオンライン授業など様々な対応を行ってきましたが、徐々にコロナ禍前の学習環境に戻し、基本的には対面授業を行うようになりました。今後も教育研究体制の充実をすすめるとともに、教育環境のさらなる改善を図っていきたいと考えています。そして、共同獣医学科の全ての学生が、国内外の社会的要請に対応できる「人間力」を備えた獣医師として活躍できるように努めて参ります。今後とも皆様のご支援とご理解を宜しくお願い申し上げます。